「冬瓜」―冬瓜彫刻の由来、中秋の「西瓜灯」―

さて唐代からの伝統を受け継いだ七夕の瓜彫刻は時代とともに次第に廃れて行きましたが、清代になると中秋節に西瓜を供える風習が生まれ、この西瓜をぼんぼりの形に彫刻する「西瓜灯」が作られるようになって、この技術が継承されました。

日本で満月を愛でる行事といえば中秋節ということになりますが、中国では新年に始めて迎える満月を祝う元宵節が中秋節とともに重要な節日となっていました。今日ではこの風習もあまり見られなくなってしまいましたが、元宵節になると名家、豪商は競い合って豪華なぼんぼりを家の前に飾り、また花火があげられて多くの見物人でたいそう賑わったと記録されています。元宵節が別名「灯節」と呼ばれるのはそのためで、「灯節」にぼんぼりを飾る風習が中秋節の「西瓜灯」を生み出したのです。

西瓜は表面の緑、その下の薄緑や白、果肉の赤と彫り進むにしたがって色が変化するために複雑で美しい模様を彫ることができ、固すぎもせず柔らかすぎもしない食品彫刻に適した材料です。このため「西瓜灯」の彫刻技術は発達してゆきましたが、この技術が今日の冬瓜料理に応用されて、彫刻した冬瓜を器とする「冬瓜盅」として現在の中国料理に活かされることとなりました。また西瓜に詰め物をして加熱して食べるという清朝の宮廷料理も今日の「冬瓜盅」の基礎となりました。このように技術や料理は長い年月をかけて徐々に変化しながら今日の中国料理に継承されていることを「冬瓜盅」は物語っています。

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